
アトラス、「鉱産資源」って言われてもピンとこないんだけど、私たちの生活にどうつながってるの?

スマートフォンやハイブリッドカー、建物や電線など、私たちの身のまわりのほぼすべての工業製品に鉱産資源が使われているよ。今日は金属資源と非金属資源の種類と分布を整理していこう。
鉱産資源の種類と産地の特徴
鉱産資源は「金属資源」と「非金属資源」に大きく分けられます。主な産地はアジア・アフリカ・ラテンアメリカの発展途上国に偏っており、アメリカ合衆国やオーストラリア、ロシアを除くと、工業国の自給率は低くなっています。つまり、工業製品を大量につくっている先進国の多くは、その原料となる鉱産資源を海外からの輸入に頼っているということです。
| 分類 | 代表的な資源 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 金属資源 | 鉄鉱石・銅・ボーキサイト・鉛・レアメタルなど | 鉄鋼・電気製品・アルミニウム・バッテリー・半導体など |
| 非金属資源 | 石灰石・粘土鉱物・硫黄・りん鉱石・岩塩・ダイヤモンドなど | セメント・セラミックス・化学工業原料・工業用研磨材など |
非金属資源の中でもダイヤモンドは希少価値があって高価であり、その高硬度ゆえに工業用としても重要です。また粘土鉱物は加工されて多くの分野で使われており、新素材の材料として近年注目を集めているセラミックスもその一種です。
鉄鉱石の分布と貿易
鉄鉱石は主に安定陸塊の楯状地に分布します。かつてはヨーロッパをはじめとする工業国でも産出していましたが、工業化の進展とともに資源が枯渇し、主要生産国が大きく変化しました。現在はオーストラリア・ブラジル・中国での生産が多く、オーストラリアが世界最大の生産国となっています(2018年、世界生産の約36.7%)。ブラジルのカラジャス鉄山、オーストラリアのマウントホエールバックなどが代表的な産地です。
中国は世界有数の鉄鉱石の生産国であると同時に、世界最大の鉄鉱石の輸入国でもあります。中国で生産される鉄鋼(粗鋼)の生産量は世界第1位で、国内生産だけでは需要を満たせないため大量に輸入しています。日本の鉄鉱石の輸入先は主にオーストラリアとブラジルで、これら2か国で輸入量の大部分を占めています。

日本は鉄鉱石をほぼ輸入に頼ってるんだね。

そう、日本の鉄鉱石の自給率はほぼ0%なんだ。でも、輸入した鉄鉱石を使って生産した自動車用の薄板など、付加価値の高い高級鋼材では高い国際競争力を誇っているんだよ。原料を輸入して高品質の製品に加工する、という日本の製造業の強みがよく表れているね。
主な非鉄金属の分布
| 資源名 | 主な生産国 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 銅鉱 | チリ(埋蔵・生産・輸出ともに世界第1位、生産の約30.2%) | 電気伝導率が高く、電気関連産業に多用。輸入は中国・日本で多く、両国ともチリへの依存度が高い |
| ボーキサイト | オーストラリア・中国・ギニア・ブラジルなど(主に熱帯・亜熱帯の国) | アルミニウムの原料。精錬には大量の電力が必要なため、大規模な水力発電所をもつ中国・ロシア・カナダがアルミニウム生産の中心 |
| 鉛鉱 | 中国(生産量の約46.1%) | バッテリー(蓄電池)などに利用 |
ボーキサイトとアルミニウム生産国が異なるのは、ボーキサイトを精錬してアルミニウムをつくるには大量の電力が必要なためです。発電費用の低い大規模な水力発電所をもつ国々でアルミニウムの生産が行われています。原料の産地と製品の生産地が異なるという点は、地理で工業の立地を考えるうえで重要なポイントです。また銅の産地はチリへの集中が顕著で、銅鉱の輸入は中国と日本で多く、両国ともにチリへの依存度が高くなっています。
需要が高まるレアメタル
金属資源のなかでも、ニッケル・チタン・コバルト・タングステン・リチウムなどは、半導体や特殊合金の材料となり、航空宇宙・新素材・エレクトロニクスなどの先端技術産業には欠かせません。地球上にもともと埋蔵量が少ない金属や、量はあっても技術面・費用面から純粋なものを取り出すことが難しい金属であることから、「レアメタル(希少金属)」と呼ばれています。スマートフォンやハイブリッドカー、薄型テレビの生産増加により、レアメタルの需要は近年ますます高まっています。

スマートフォンにもレアメタルが入ってるんだよね!具体的にどんなものが使われてるの?

スマートフォンのバイブレーションモーターにはネオジム(Nd)、液晶にはインジウム(In)、カメラにはニッケル(Ni)、コンデンサーにはタンタル(Ta)やチタン(Ti)、電池にはリチウム(Li)などが使われているんだ。一台の中にいくつものレアメタルが組み込まれているんだよ。
レアメタルの偏在と「レアアース」
レアメタルの分布はアフリカ南部・中国・オーストラリアなど、生産量上位の数か国に限られており、安定確保が各国の重要な課題となっています。特に偏在が著しいものとして、以下が挙げられます。
| レアメタルの種類 | 生産の偏在 | 主な用途 |
|---|---|---|
| コバルト | コンゴ民主共和国が世界生産の約69.4% | 電池・特殊合金 |
| タングステン | 中国が世界生産の約82.3% | 超硬工具・電球フィラメント |
| リチウム鉱 | オーストラリアが世界生産の約61.9% | リチウムイオン電池(電気自動車・スマートフォンなど) |
| レアアース(希土類) | 中国が世界生産の約6割(2018年) | 自動車バッテリー・各種電子製品の性能向上 |
レアアース(希土類)はレアメタルのうちの17種類の希土類元素の総称で、自動車のバッテリーや各種電子製品の性能向上に不可欠な鉱産資源です。中国が世界生産の約6割を占めているため、同国がレアアースの輸出制限などを行うと、輸入国ではその供給が一時的に困難になるなどの問題が生じます。特定の国への過度な依存が、外交・安全保障上のリスクにもつながることが世界的に認識されるようになりました。
レアメタルの安定確保に向けた取り組み
日本では重要度の高いレアメタルを一定の日数分、国と民間が連携して備蓄する制度が進められています。また、廃棄された工業製品からレアメタルを取り出す「リサイクル技術」も確立されつつあります。パソコンや携帯電話などの電子機器には、解体・回収して再生すれば再利用が可能な金や銅・鉛・レアメタルなどの貴重な資源が潜在しており、こうした廃棄物に含まれる資源は人口に比例して廃棄物が多い都市に集積しているため「都市鉱山」と呼ばれています。
しかし金属とプラスチックなどが混在する製品から特定の金属を取り出すには高度な技術が必要で、リサイクル費用が高いという問題があります。また、廃棄物に価値があるという認識が浸透していないために海外へ輸出されてしまう問題もあり、再資源化が十分に進んでいないのが現状です。都市鉱山の活用が進めば、限られた供給国からの輸入に頼っている貴重な金属資源を国内で循環利用できる可能性があり、今後の技術開発と回収体制の整備が期待されています。

私たちにもできることはあるのかな?

使い終わったスマートフォンや電子機器を適切にリサイクルに出すことが、都市鉱山の活用につながる一歩だよ。一人ひとりの行動が積み重なることで、資源の循環に貢献できるんだ。
まとめ
- 鉱産資源は「金属資源」と「非金属資源」に分けられ、主な産地はアジア・アフリカ・ラテンアメリカの発展途上国に偏っている
- 鉄鉱石は安定陸塊の楯状地に分布し、現在はオーストラリア・ブラジル・中国での生産が多い。中国は世界最大の生産国かつ最大の輸入国
- 銅鉱はチリが埋蔵・生産・輸出ともに世界第1位。ボーキサイトは熱帯・亜熱帯産出だが、アルミニウム精錬には大量の電力が必要なため生産国が異なる
- スマートフォン・ハイブリッドカー・薄型テレビなどの先端技術産業に不可欠なレアメタルの需要が急増している
- コバルト(コンゴ民主共和国)・タングステン(中国)・レアアース(中国)など、一部のレアメタルは特定国への生産集中が著しい
- 備蓄制度の整備や「都市鉱山」を活用したリサイクル技術の確立が、レアメタルの安定確保に向けた重要な取り組みとなっている

次回は、工業はどこに立地するのかを決める「ウェーバーの工業立地論」と、その後の立地移動の動きについて見ていこう!


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