大気大循環と世界の風系とは?気圧帯・偏西風・季節風をわかりやすく解説

ルナ
ルナ

ねえアトラス、天気予報で「偏西風の影響で…」ってよく聞くけど、そもそも偏西風ってなんで吹くの? 風って気まぐれに吹いてるわけじゃないの?

アトラス
アトラス

実は、地球全体の風には決まったパターンがあるんだ。太陽の熱と地球の自転が組み合わさって、世界中に規則正しい風の流れが生まれている。これを「大気大循環」って呼ぶんだよ。今日はこのしくみを一緒に見ていこう!

なぜ風は吹くのか? — 大気大循環の出発点

風が吹く根本的な原因は、地球上で太陽から受ける熱の量が場所によって違うことにあります。

赤道付近は太陽の光がほぼ真上から当たるため、地表が強く温められます。一方、極付近は太陽の光が斜めから当たるため、受け取る熱の量が少なくなります。

この赤道と極の温度差を解消しようとして、大気が動きます。温められた空気は上昇し、冷たい空気は下降する。この空気の動きこそが「風」の正体です。

風が吹く原因は「赤道と極の温度差」。この温度差を解消しようとして大気が循環し、地球規模の風のパターン=大気大循環が生まれます。

ルナ
ルナ

暖かい空気が上がって、冷たい空気が下がる…。お風呂のお湯が上に来て水が下にいくのと同じ原理だね!

大気大循環のしくみ — 3つの循環セル

もし地球が自転していなければ、赤道で上昇した空気がそのまま極まで流れて降りてくる、シンプルな1つの循環になるはずです。

しかし実際の地球は自転しています。自転の影響(コリオリの力)によって、風の流れは曲げられ、赤道から極までの間に3つの循環が生まれます。

大気大循環 — 3つの循環セル(北半球)

① ハドレー循環

赤道〜緯度30°付近

赤道で上昇
↓ 緯度30°で下降

地上の風 → 貿易風
(北東貿易風)

② フェレル循環

緯度30°〜60°付近

緯度30°で下降
↑ 緯度60°で上昇

地上の風 → 偏西風
(南西の風)

③ 極循環

緯度60°〜極

極で下降
↑ 緯度60°で上昇

地上の風 → 極偏東風
(北東の風)

アトラス
アトラス

この3つの循環が、北半球と南半球にそれぞれあるから、地球全体では合計6つの循環セルが回っているんだ。これが「大気大循環」の全体像だよ。

ルナ
ルナ

3つの循環が並んでるんだ! でも「コリオリの力」って何? なんで風が曲がるの?

コリオリの力 — なぜ風は曲がるのか

コリオリの力とは、地球が自転しているために、動いている物体の進路が曲がって見える現象のことです。

地球は西から東に自転しています。そのため、北半球では動いている物体(風や海流)の進行方向に対して右に曲がる力がはたらきます。南半球では逆に左に曲がる力がはたらきます。

アトラス
アトラス

コリオリの力は「本当に力がはたらいている」というよりも、「回転する地球の上から見ると曲がって見える」という見かけの力なんだ。でも風の向きを決めるうえでは決定的に重要だよ。

4つの気圧帯 — 風が生まれる場所

3つの循環によって、地球上には空気が上昇する場所(低圧帯)と下降する場所(高圧帯)が交互に並びます。これが気圧帯です。

地球上の気圧帯(赤道→北極)

低圧帯 赤道低圧帯(赤道付近)… 空気が上昇 → 雲ができやすく、雨が多い

高圧帯 亜熱帯高圧帯(緯度30°付近)… 空気が下降 → 雲ができにくく、乾燥

低圧帯 亜寒帯低圧帯(緯度60°付近)… 空気が上昇 → 雨や雪が多い

高圧帯 極高圧帯(極付近)… 冷たい空気が下降 → 乾燥

風は高圧帯から低圧帯に向かって吹きます。高気圧の場所から空気が押し出され、低気圧の場所に空気が吸い込まれるイメージです。

低圧帯=雨が多い(空気が上昇→冷える→雲→雨)
高圧帯=乾燥する(空気が下降→温まる→雲ができにくい)
この関係を覚えておくと、「なぜ赤道付近は雨が多いのか」「なぜ緯度30°付近に砂漠が多いのか」がすぐに説明できます。

ルナ
ルナ

サハラ砂漠が緯度30°付近にあるのは、亜熱帯高圧帯のせいだったんだ!

恒常風 — 一年中吹き続ける3つの風

気圧帯の間を吹く風のうち、一年を通じてほぼ同じ方向に吹き続ける風を恒常風(こうじょうふう)といいます。代表的な恒常風は3つあります。

恒常風吹く範囲風向(北半球)風向(南半球)特徴
貿易風亜熱帯高圧帯 → 赤道低圧帯北東南東安定して吹く。大航海時代に貿易船が利用
偏西風亜熱帯高圧帯 → 亜寒帯低圧帯南西北西中緯度を支配。日本の天気が西から変わる原因
極偏東風極高圧帯 → 亜寒帯低圧帯北東南東極地方に限定。勢力は弱め

風向は「風が吹いてくる方向」で表します。北東貿易風は「北東から南西に向かって吹く風」という意味です。天気予報でも同じルールが使われています。

気圧帯の季節移動 — 夏と冬でずれる

ここまで見てきた気圧帯は、実は一年中同じ場所にあるわけではありません。太陽の直射点の移動に合わせて、気圧帯も南北に移動します

太陽の直射点は、夏至(6月ごろ)には北回帰線(北緯23.4°)付近に、冬至(12月ごろ)には南回帰線(南緯23.4°)付近に移動します。これに合わせて、気圧帯全体が夏は北に、冬は南にずれるのです

気圧帯の季節移動とその影響

☀️ 北半球の夏(6〜8月)

気圧帯が全体的に北にずれる → 赤道低圧帯が北上 → 亜熱帯高圧帯も北上 → 地中海沿岸が亜熱帯高圧帯に覆われ夏に乾燥(Cs気候の原因)

❄️ 北半球の冬(12〜2月)

気圧帯が全体的に南にずれる → 亜熱帯高圧帯が南下 → 地中海沿岸に偏西風が届くようになり冬に湿潤 → サバナ気候帯は乾季に(赤道低圧帯から外れるため)

アトラス
アトラス

気圧帯の季節移動は、ケッペンの気候区分と直結するよ。たとえばCs(地中海性気候)が「夏に乾燥する」理由は、夏に亜熱帯高圧帯が北上して地中海沿岸を覆うから。Aw(サバナ気候)に雨季と乾季がある理由は、赤道低圧帯が季節移動して、雨季には赤道低圧帯に入り、乾季には外れるからなんだ。

  • Cs(地中海性気候) ← 夏に亜熱帯高圧帯に覆われて乾燥
  • Aw(サバナ気候) ← 赤道低圧帯の移動で雨季・乾季が交代
  • Cw(温暖冬季少雨気候) ← 冬に大陸からの乾いた季節風の影響

気圧帯の移動を理解すると、「なぜその気候がそこにあるのか」が説明できるようになります。

季節風(モンスーン)— 大陸と海がつくる風

恒常風に加えて、もう一つ重要な風があります。**季節風(モンスーン)**です。

季節風は、季節によって風向が大きく変わる風のこと。大陸と海の温まりやすさの違いが原因で生まれます。

大陸温まりやすい → 高温 → 上昇気流 → 低気圧冷めやすい → 低温 → 下降気流 → 高気圧
海洋温まりにくい → 相対的に低温 → 高気圧冷めにくい → 相対的に高温 → 低気圧
風向海 → 陸(湿った風 → 雨が多い)陸 → 海(乾いた風 → 乾燥)
ルナ
ルナ

夏は海から陸に風が吹いて雨が多くなり、冬は陸から海に風が吹いて乾燥する…。だから日本の夏はジメジメしてて、冬は太平洋側が乾燥するんだね!

アトラス
アトラス

そのとおり! 特にアジアは世界最大の大陸(ユーラシア大陸)と世界最大の海洋(太平洋・インド洋)が隣り合っているから、季節風の影響が世界で最も強い地域なんだ。日本・中国・インド・東南アジアの気候を理解するには、季節風の理解が欠かせないよ。

東アジアの季節風

☀️ 夏の季節風

太平洋 → 大陸に向かって吹く(南東の風) → 海上の水蒸気をたっぷり含む → 高温多湿・大量の雨 → 梅雨や台風の時期と重なる

❄️ 冬の季節風

大陸(シベリア高気圧)→ 太平洋に向かって吹く(北西の風) → 冷たく乾いた空気 → 日本海を渡るとき水蒸気を吸収 → 日本海側で大雪、太平洋側は乾燥

冬の季節風(北西風)はもともと乾燥していますが、日本海の暖流の上を通過するときに大量の水蒸気を含みます。この湿った空気が日本列島の山脈にぶつかって上昇し、日本海側に大雪を降らせます。山脈を越えると乾いた空気になるため、太平洋側は晴れて乾燥します。

大気大循環と気候区分のつながり

ここまで学んだ大気大循環のしくみが、ケッペンの気候区分の分布と直結しています。

緯度帯気圧帯・風系対応する気候区分理由
赤道付近赤道低圧帯Af(熱帯雨林)上昇気流で年中雨が多い
緯度10〜20°赤道低圧帯の移動域Aw(サバナ)雨季=低圧帯に入る、乾季=外れる
緯度20〜30°亜熱帯高圧帯BW/BS(砂漠/ステップ)下降気流で年中乾燥
緯度30〜40°亜熱帯高圧帯〜偏西風帯の境界Cs(地中海性)夏に高圧帯、冬に偏西風
緯度40〜60°偏西風帯Cfb(西岸海洋性)偏西風+暖流で年中湿潤・温暖
大陸東岸季節風の影響大Cfa/Cw/Dwモンスーンで夏に多雨、冬に乾燥
アトラス
アトラス

この表を見ると、大気大循環が気候区分の「骨格」になっていることがわかるよね。前回のケッペンの記事で「西岸=偏西風+暖流、東岸=モンスーン」と覚えたけど、それは大気大循環のしくみから来ているんだ。

ルナ
ルナ

今日のポイントを整理すると…

風は「赤道と極の温度差」を解消するために吹く
コリオリの力で風が曲がり、3つの循環セル(ハドレー・フェレル・極)ができる 4つの気圧帯が交互に並ぶ — 低圧帯=雨が多い、高圧帯=乾燥
恒常風は3種類:貿易風・偏西風・極偏東風
気圧帯は太陽の直射点に合わせて季節移動する → Cs、Awの原因
季節風は大陸と海の温度差で生まれる → 東アジアの気候を支配
大気大循環がわかれば、ケッペンの気候区分の「なぜ」が説明できる!

…こんな感じかな?

アトラス
アトラス

完璧だよルナ! 大気大循環は気候分野の土台だから、ここをしっかり理解しておけば、この後のケッペンの気候区分も、各気候帯の暮らしも、ぜんぶつながって見えてくるよ。次の記事では「ケッペンの気候区分(判定フローと植生の結びつき)」を詳しく見ていこう!

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