
ねえアトラス、「ケッペンの気候区分」って名前はよく聞くけど、そもそも何のために作られたの? 気候って、暑いか寒いかだけじゃダメなの?

いい質問だね。ケッペンの気候区分は、ドイツの気候学者ウラジミール・ケッペンが考えた「世界中の気候を植物の分布をもとに分類する方法」なんだ。 ポイントは「気温と降水量」という数値で機械的に判定できること。だから誰がやっても同じ結果になるんだよ。
ケッペンの気候区分とは? — 植生と気候の関係
ケッペンの気候区分は、1884年にドイツの気候学者ウラジミール・ケッペン(Wladimir Köppen)が考案し、その後改良を重ねた気候分類法です。
最大の特徴は、植物の分布(植生)に注目して気候を分けたという点にあります。ケッペンは「ある地域にどんな植物が育つかは、その地域の気温と降水量で決まる」と考えました。
つまり、世界地図の上で植物の種類が大きく変わる境界線を引くと、それがそのまま気候の境界線になる、という発想です。
ケッペンの気候区分は「気温」と「降水量」の数値だけで判定するので、誰がやっても同じ結果になります。この「客観性」こそが、100年以上経った今でも世界中で使われている最大の理由です。

植物で気候を分けたんだ! だから砂漠には木が少ないし、熱帯には大きな森があるんだね。
5つの気候帯(A〜E)を一覧で理解する
ケッペンは、世界の気候をまず大きく**5つのグループ(A・B・C・D・E)**に分けました。それぞれの特徴を下の表で確認しましょう。
| 記号 | 気候帯 | ざっくりした特徴 | 判定基準(概要) |
|---|---|---|---|
| A | 熱帯 | 一年中暑い。最寒月でも18℃以上 | 最寒月平均気温 ≧ 18℃ |
| B | 乾燥帯 | 雨がとても少ない | 降水量が蒸発量に追いつかない |
| C | 温帯 | 四季がはっきり。日本の大部分はここ | 最寒月平均気温 −3℃〜18℃未満 |
| D | 亜寒帯(冷帯) | 冬がとても寒い。針葉樹林が広がる | 最寒月平均気温 < −3℃ かつ 最暖月 ≧ 10℃ |
| E | 寒帯 | 一年中寒く、樹木が育たない | 最暖月平均気温 < 10℃ |

ここで大事なのは判定の順番。まず「E(寒帯)かどうか」→「B(乾燥帯)かどうか」→「A(熱帯)か C(温帯)か D(冷帯)か」の順で判定するんだ。次のフローチャートで確認しよう!
判定フローチャート — 順番どおりに進めるだけ
ケッペンの気候区分は、いくつかの質問に「はい/いいえ」で答えていくだけで判定できます。以下のフローチャートを上から順番に確認してみましょう。
ケッペンの気候区分 — 判定フロー
最暖月の平均気温が10℃未満? → はい → E 寒帯
↓ いいえ(最暖月10℃以上)
降水量が極端に少ない?(蒸発量 > 降水量) → はい → B 乾燥帯
↓ いいえ(十分な雨がある)
最寒月の平均気温が18℃以上? → はい → A 熱帯
↓ いいえ(最寒月18℃未満)
最寒月の平均気温が−3℃以上? → はい → C 温帯
↓ いいえ(最寒月−3℃未満)
最寒月の平均気温が−3℃未満 → D 亜寒帯(冷帯)

上から順番に「はい」か「いいえ」で進むだけだから、意外とシンプルだね!
B気候だけは気温ではなく「降水量と蒸発量の関係」で判定します。雨温図を見たときに降水量が極端に少なければB気候と考えましょう。暑い砂漠(サハラ砂漠など)も寒い砂漠(ゴビ砂漠など)も同じB気候に分類されます。
第2文字・第3文字の意味 — 細かい区分を読み解く
A〜Eの大分類が決まったら、さらに第2文字(降水パターン)と第3文字(気温の特徴)を付けて、より細かく区分します。
A気候(熱帯)の第2文字
| 記号 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| Af | 熱帯雨林気候 | 一年中雨が多い(最少雨月の降水量 ≧ 60mm) |
| Am | 熱帯モンスーン気候 | AfとAwの中間。短い乾季はあるが、年降水量が多く森林が維持される |
| Aw | サバナ気候 | 明確な雨季と乾季がある。乾季は冬に訪れる |
Am(熱帯モンスーン気候)は、AfとAwの境界にあたる気候で、最少雨月の降水量は60mm未満ですが、年間を通じた降水量が十分にあるため熱帯林が維持されます。分布域はAfやAwに比べると狭い気候区分です。
B気候(乾燥帯)の第2文字
| 記号 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| BW | 砂漠気候 | 雨が極端に少ない。植物がほとんど育たない |
| BS | ステップ気候 | 砂漠ほどではないが雨が少ない。丈の短い草が育つ |
C・D気候の第2文字(降水パターン)
温帯(C)と冷帯(D)では、「いつ雨が少ないか」で第2文字が決まります。
| 記号 | 意味 | 判定のめやす |
|---|---|---|
| w | 冬に乾燥する | 夏の最多雨月の降水量 ≧ 冬の最少雨月の降水量 × 10 |
| s | 夏に乾燥する | 冬の最多雨月の降水量 ≧ 夏の最少雨月の降水量 × 3 |
| f | 年中湿潤 | 上の2つのどちらにも当てはまらない |
w = winter dry(冬に乾燥)… 夏にドカッと降り、冬はカラカラ
s = summer dry(夏に乾燥)… 冬に雨が降り、夏はカラッと晴れる
f = feucht(ドイツ語で「湿った」)… 一年中まんべんなく雨が降る
wの判定は差が10倍と厳しく、sの判定は差が3倍。wの方が「極端に冬が乾く」場合にしか当てはまらない点に注意しましょう。
C・D気候の第3文字(夏の暑さ)
| 記号 | 意味 | 判定基準 |
|---|---|---|
| a | 暑い夏 | 最暖月平均気温 ≧ 22℃ |
| b | 温かい夏(涼しい夏) | 最暖月平均気温 < 22℃ |
大陸の西岸と東岸 — どこにどの気候ができやすい?
ケッペンの気候区分を地図の上に並べると、大陸の西岸(太平洋側・大西洋側のヨーロッパ寄り)と東岸(太平洋側のアジア寄り・大西洋側のアメリカ寄り)で、できやすい気候に明確なパターンがあります。これは共通テストでも非常によく問われるポイントです。
大陸の西岸と東岸 — 気候分布のちがい
🌊 大陸の西岸
Cs地中海性気候
緯度30〜40°付近。夏に亜熱帯高圧帯の影響で乾燥
Cfb西岸海洋性気候
緯度40〜60°付近。偏西風と暖流の影響で一年中温暖・湿潤、夏は涼しい
🌏 大陸の東岸
Cfa温暖湿潤気候
緯度25〜40°付近。季節風(モンスーン)の影響で夏に高温多湿
Cw温暖冬季少雨気候
低緯度側に多い。冬にモンスーンが大陸から吹き出し乾燥
Dw亜寒帯冬季少雨気候
シベリア東部など。冬の大陸性高気圧で極端に乾燥

西岸にはCsとCfb、東岸にはCfaとCw…。同じ温帯でも、大陸のどっち側かで全然ちがうんだね!

そう! 理由は風と海流にあるんだ。
西岸は偏西風と暖流の影響を強く受ける。だから高緯度でも温暖で、夏も涼しめ。
そして中緯度では夏に亜熱帯高圧帯に覆われて乾燥する。
東岸は季節風(モンスーン)の影響が大きい。夏は海から湿った風が吹いて高温多湿になり、冬は大陸から冷たく乾いた風が吹くので乾燥する。
「西岸=偏西風と暖流、東岸=モンスーン」と覚えておくと、配置の理由がスッキリわかるよ。
気候区分と植生の結びつき
ケッペンの気候区分は、もともと「植物の分布」をもとに作られました。そのため、気候区分と植生は非常に密接に結びついています。
| 気候区分 | 代表的な植生 | 特徴 |
|---|---|---|
| Af 熱帯雨林気候 | 熱帯雨林 | 常緑広葉樹が密生。多種多様な動植物が生息 |
| Aw サバナ気候 | サバナ(疎林と草原) | 乾季に落葉する樹木がまばらに生え、草原が広がる |
| BW 砂漠気候 | 砂漠(ほぼ無植生) | サボテンなど耐乾性の植物がわずかに分布 |
| BS ステップ気候 | ステップ(短草草原) | 丈の短い草が一面に広がる。遊牧地帯に多い |
| Cs 地中海性気候 | 硬葉樹林 | オリーブやコルクガシなど、夏の乾燥に耐える厚い葉の樹木 |
| Cfb 西岸海洋性気候 | 落葉広葉樹林・混合林 | ブナやナラなど、秋に葉を落とす樹木が中心 |
| Cfa 温暖湿潤気候 | 照葉樹林・落葉広葉樹林 | シイやカシなどの常緑樹と落葉樹が混在 |
| Df/Dw 亜寒帯気候 | タイガ(針葉樹林) | エゾマツ・トドマツなどの針葉樹が帯状に広がる |
| ET ツンドラ気候 | ツンドラ | コケや地衣類が育つ。樹木は生育できない |
| EF 氷雪気候 | 氷雪(植生なし) | 一年中氷と雪に覆われ、植物はほぼ育たない |

共通テストでは「気候区分 → 植生 → 土壌 → 農業」のつながりが問われることがとても多いよ。たとえば「Af(熱帯雨林気候)→ 熱帯雨林 → ラトソル → 焼畑農業」のようなセットは定番中の定番。ケッペンの気候区分を軸に、この連鎖を丸ごと理解するのが最強の勉強法だよ。

今日のポイントを整理すると…
① ケッペンの気候区分は「植生」をもとに気候を分けたもの
② 気温と降水量の数値で「E → B → A → C / D」の順に判定する
③ 第2文字は「雨のパターン」(f・w・s)、第3文字は「夏の暑さ」(a・b)
④ 西岸は偏西風+暖流でCs・Cfb、東岸はモンスーンでCfa・Cw・Dw
⑤ 気候区分を覚えれば植生・土壌・農業まで連鎖的にわかる!
…こんな感じかな?

完璧だよルナ! まずは判定フローを何度か練習してみて、慣れたら実際の都市の雨温図で試してみよう。次の記事では「熱帯・乾燥帯の気候と生活(A・B気候)」を詳しく見ていくよ!
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