
アトラスくん、農業のことはたくさん勉強したけど、「林業」と「水産業」についても気になる!

今日は森と海、つまり林業と水産業の話をしよう。まずは森林資源についてだよ。
世界の森林の3つの分類
世界の森林は、分布する気候帯によって大きく3つに分けられます。
| 分類 | 分布する気候帯 | 特徴 |
|---|---|---|
| 熱帯林 | 熱帯 | さまざまな樹種の常緑広葉樹からなる |
| 温帯林 | 温帯 | 落葉広葉樹と針葉樹の混合林(混交林) |
| 亜寒帯林 | 亜寒帯 | 主に特定の針葉樹だけで構成される |
木材の用途(用材・薪炭材)と森林の多面的機能
木材の用途は、建築材料や製紙原料となる「用材」と、燃料用の「薪炭材」の大きく2つに分けられます。
| 用途 | 特徴 | 主な地域 |
|---|---|---|
| 用材 | 建築材料や製紙原料として利用。北アメリカや北欧などの亜寒帯林では製紙用のパルプ生産が盛ん。ヨーロッパでは早くから用材生産のための人工林化が進められた地域もある | 先進国 |
| 薪炭材 | 料理や暖房などの燃料需要を満たすために生産される。用材としては丸太やチークなどが利用される | 熱帯林が広がる発展途上国 |

森林をたくさん切ってしまったら、どうなるの?
森林には、木材の供給にとどまらない機能があります。具体的には、二酸化炭素を吸収して酸素を供給する機能、水資源や土壌を保全する機能、土砂災害を防ぐ機能、人々の生計の手段となる機能などです。世界各地で森林の大規模な消失や劣化がみられるなか、こうした森林に備わる多面的な機能を持続的に発揮できるように、開発と保全をうまく組み合わせていくことが大切です。

森林面積の変化には地域差もあるんだ。温帯では植林によって人工林が増えている一方、熱帯では人口増加による薪炭材需要の増加や、農牧地への転用、森林火災などの影響で、森林面積が減少している地域が多いんだよ。
日本の林業の変化
日本は国土の約3分の2が森林で、かつては木材の大部分を自給していました。しかし、高度経済成長期に木材需要が急増し、海外からの安い輸入木材が増えたことで、木材の自給率は急激に低下していきました。この過程で林業就業者数は減少し、高齢化も進みました。

今はどうなの?
2000年代に入ると、大規模に植林された森が成長して利用できるようになるとともに、林政の後押しもあって自給率が改善してきました。その結果、林業就業者数は下げ止まり、若年の林業従事者の割合も回復してきています。近年、日本の木材輸入の中心は丸太ではなく木材製品で、木材製品はパルプや製品が欧米から、合板は東南アジア・東アジアからの輸入が多くなっています。

林業や製材で生じる端材を木質バイオマスとして発電や熱源に活用し、地域づくりに生かしている例もあるんだよ。

木のことは分かったから、次は海!水産業について教えて。
世界の主な漁場
世界の主な漁場は、大陸棚や浅堆(バンク)のような比較的浅い水域です。これらの水域では日光が届きやすく、深層から表層に栄養分が湧き上がる「湧昇流」や、陸地からの河川水の流入によって栄養分が豊富に運ばれてきます。そのためプランクトンの繁殖が盛んになり、これを餌とする水産生物が集まる良い漁場となります。また、暖流と寒流が出合う「潮目(潮境)」も、大量のプランクトンが発生するため優れた漁場となります。
| 漁場の特徴 | 内容 | 代表例 |
|---|---|---|
| 大陸棚 | 大陸の周りを縁取る、海岸から続く深さ約200mまでの浅い海底 | 世界各地の沿岸 |
| 浅堆(バンク) | 海底の浅い場所で、周囲よりも一段高くなっている場所 | 北ヨーロッパ周辺など(水深15〜30m程度のものもみられる) |
| 湧昇流域 | 深層から表層に栄養分が湧き上がる海域 | 太平洋南東部(アンチョビの好漁場) |
| 潮目(潮境) | 暖流と寒流が出合う海域 | 日本沿岸を含む太平洋北西部 |
世界最大の漁獲量を誇るのは、日本沿岸を含む太平洋北西部です。近年は、経済発展とともに水産物への需要が増した中国の漁獲量の増加が目立っています。また、太平洋南東部ではアンチョビが大量に漁獲され、飼料や肥料として重要な輸出品となっています。このほか、大西洋北東部の海域は、古くからたらやにしんの重要な漁場となっています。

日本の近くは、世界的にも大事な漁場なんだね!

日本の近くだけじゃなく、世界には色々な特徴をもつ漁場があるんだよ。
持続的な水産資源の利用(EEZ・養殖業・栽培漁業)
19世紀末ごろから、漁船の動力化や冷凍船の発明によって漁場が遠洋へと急速に広がりました。それに伴い漁獲量が増加し、未利用だった水産生物も食料として利用されるようになりましたが、その反面、水産資源の枯渇が懸念されるようになりました。1970年代には発展途上国で水産資源を保護・管理する動きが強まり、外国漁船による漁獲を制限したり、排他的経済水域(EEZ)を設定したりする国が増えました。
| 取り組み | 内容 |
|---|---|
| 排他的経済水域(EEZ) | 沿岸国が水産資源などを管理できる水域。外国漁船の漁獲を制限する |
| 養殖業 | 一定の大きさまで水産生物を育てて出荷する漁業。中国の漁獲量の伸びを支えているのは内水面養殖業 |
| 栽培漁業 | 人工的に育てた稚魚・幼魚を放流し、自然の中で育ったものを漁獲する方法。資源管理に役立つ |

そういえば、まぐろの「完全養殖」っていう話も聞いたことあるよ。
日本はまぐろの世界有数の消費国で、消費するまぐろの約半分は海外からの輸入です(2018年)。高級品として知られるくろまぐろは、まぐろ全体の漁獲量に占める割合は小さいものの、日本沿岸でも海外でも人気があります。天然の幼魚を漁獲して育てる「蓄養」が普及してきましたが、資源の枯渇を防ぐためには、卵から成魚まで人工的に育てる「完全養殖」の技術開発が重要視されています。

天然のまぐろの資源管理と、養殖技術の両方が大切になっているんだよ。
日本の水産業の現状
日本の漁獲量は、かつて世界最大規模でしたが、近年は低迷しています。とりわけ、遠洋漁業と沖合漁業の漁獲量が大きく減りました。その背景には、排他的経済水域の設定、海洋環境や水産資源の変化、世界各地からの輸入水産物の増加、人々の食習慣の変化などがあります。
一方で、日本は世界有数の水産物輸入国で、輸入水産物のなかで特に輸入額が大きいのは、えび・まぐろ・さけ・ますです。このうち、えびは養殖場の開発による環境への影響、まぐろは天然資源の枯渇に対応するための厳格な漁獲規制などが世界の課題となっており、日本は積極的な対応が求められています。
まとめ
- 世界の森林は「熱帯林・温帯林・亜寒帯林」に分類され、木材は「用材」と「薪炭材」に大別される
- 先進国では用材生産・人工林化が進み、発展途上国の熱帯林では薪炭材の生産が多い
- 日本の木材自給率はかつて急落したが、2000年代以降は植林の成長や林政の後押しで改善傾向にある
- 世界の主な漁場は「大陸棚・浅堆・湧昇流域・潮目」で、太平洋北西部が世界最大の漁獲量を誇る
- 排他的経済水域(EEZ)の設定や資源減少を背景に、養殖業や栽培漁業による持続的利用が重視されている
- 日本は世界有数の水産物輸入国(えび・まぐろ・さけ・ますなど)で、遠洋・沖合漁業の漁獲量低下が課題となっている

こうして見ると、林業も水産業も「資源をどう持続的に使っていくか」というテーマが共通しているんだ。これで農林水産業の全体像が見えてきたね。

うん!アトラスくん、ありがとう!次のテーマも楽しみにしてるよ!


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