エネルギー資源の分布と消費とは?化石燃料・石油危機から再生可能エネルギー・脱炭素化まで解説

ルナ
ルナ

アトラス、「エネルギー資源」ってひとことで言うけど、種類がたくさんあるよね。どう整理したらいいの?

アトラス
アトラス

まず「1次エネルギー」と「2次エネルギー」に分けて考えるといいよ。それから化石燃料・原子力・再生可能エネルギーという3つのカテゴリーも大事なんだ。今日はこれを軸に整理していこう。

1次エネルギーと2次エネルギーの違い

エネルギー資源は、自然界にそのまま存在する「1次エネルギー」と、1次エネルギーを加工してつくられる「2次エネルギー」に分けられます。石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料や、水力・風力・地熱、原子力燃料のウランなどが1次エネルギーです。これに対して、電力やガソリン・コークスなどは1次エネルギーからつくられる2次エネルギーにあたります。現代社会では、1次エネルギーの多くは発電によって電力という2次エネルギーに変換されて利用されています。私たちの生活でスイッチを押すだけで電気がつくのは、この変換のプロセスが整備されているおかげです。

ルナ
ルナ

「化石燃料」って名前の由来は何なの?

アトラス
アトラス

地中に堆積した動植物の遺骸がもとになったエネルギーのことで、数百万年から数億年かけて変化した一種の「化石」だからそう呼ばれているんだ。炭素含有量が多くて、燃焼すると二酸化炭素が発生するというのも大事な特徴だよ。これが地球温暖化との関係で問題になっているんだ。

エネルギー消費の歴史と「エネルギー革命」

産業革命以前、人々が利用するエネルギーは、木材を用いた薪や炭、水力・風力などの再生可能な資源が中心で、いずれも小規模な利用にとどまっていました。18世紀半ばに産業革命が起こり、蒸気機関や動力機械が使われるようになると、石炭の大量消費が進みました。石炭は工場の動力源として使われただけでなく、製鉄にも欠かせない燃料として、近代工業の基盤を支えました。

さらに20世紀に入ると、自動車の燃料や樹脂・繊維・ゴムなどの合成原料として石油の需要が急増しました。1960年代後半には、石炭に代わって石油の消費量が急増する「エネルギー革命」が起こりました。石油が石炭に比べて熱効率が高く、液体であるため扱いやすく、大型タンカーやパイプラインで大量に輸送できることなどが背景にあります。こうして石油は現代の産業と生活に欠かせない資源となり、先進国の経済は石油なしでは成り立たない構造になっていきました。

ルナ
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今は世界のエネルギー消費の中心は何なの?

アトラス
アトラス

石油の割合が最も高いけど、天然ガスの消費も増えている。2000年以降は、価格の安さと供給の安定性から石炭の利用も緩やかに増加しているんだ。一方で水力や原子力などの非化石エネルギーの消費量は、相対的にはあまり伸びていないよ。

生産と消費の不均衡

1人あたりのエネルギー消費量は、北米やヨーロッパ、日本などの先進国、西アジアの産油国などで大きくなっています。また、同じ大陸であれば、冬季が寒冷となる緯度の高い地域でより消費量が大きくなります。これは暖房需要の違いを反映しています。

エネルギーの生産量と消費量には、国によって大きな違いがあります。アメリカ合衆国や中国のように生産・消費ともに多い国がある一方で、サウジアラビアやロシアのように生産量が消費量をはるかに上回る国、日本のように消費量が生産量を大幅に上回る国もあります。エネルギー資源は、生産量が消費量を上回る国から消費量の大きい国に輸出されることで、この不均衡が解消されています。各国のエネルギー消費量の内訳は、当該国で生産される1次エネルギーの種類や量、エネルギー政策によっても違いがあります。

ルナ
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日本はどんな状況なの?

アトラス
アトラス

日本は石油の自給率が0.4%、液化天然ガスは2.2%と、ほとんどを輸入に頼っているんだ。石炭はオーストラリアやインドネシア・ロシアから、原油はサウジアラビアやアラブ首長国連邦・クウェートから多く輸入しているよ。資源の種類や供給国の多角化を図ることが、日本の重要な政策課題になっているんだ。

化石燃料の種類と分布

化石燃料の中心である石油は、確認埋蔵量の約半分が西アジアに偏在しています。西アジアは1950〜1960年代にペルシア湾岸で大規模な油田が相次いで発見・開発されて以来、世界の石油供給の中心となっています。特にサウジアラビアは西アジアの中でも確認埋蔵量・生産量が最も多く、石油の主要輸出国の地位にあります。1980年代以降は北海のイギリス・ノルウェー、中南米のベネズエラ・メキシコ・ブラジル、東南アジアのインドネシア・マレーシア・ブルネイ、ロシアや中国でも油田開発が進められました。

石炭は化石燃料のなかで最も埋蔵量が多く、熱量に換算すると石油の4倍以上とも推定されています。分布は石油に比べて偏りが少なく、アメリカ合衆国・中国・インドなどで可採埋蔵量が多くなっています。中国のタートン(大同)炭田やアメリカ合衆国のアパラチア炭田などで良質の石炭が大量に採掘されています。石炭の多くは生産国で消費されますが、日本や中国・インドは火力発電や製鉄の燃料・原料としての利用を目的に大量に輸入しています。

天然ガスはメタンガスを主成分とする可燃性ガスで、石油や石炭より熱量が大きく、燃焼時に排出される汚染物質も比較的少ないため、環境への負荷が小さい化石燃料として重要視されています。生産はアメリカ合衆国とロシアで世界の約4割を占めています。冷却して液化すると体積が約600分の1になるため大量輸送が可能となり、液化天然ガス(LNG)として海上輸送されます。1970年代以降この輸送技術が発達したことで、石油の代替エネルギーとして天然ガスの開発が進み、1次エネルギーの消費量に占める天然ガスの割合が高まっています。

ルナ
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「シェール革命」って言葉、聞いたことあるよ。

アトラス
アトラス

シェールガスやシェールオイルは、地下数千mのシェール(頁岩)という固い岩盤の隙間から採掘される天然ガスと原油のことで、従来のガス田・油田ではない場所から採れる非在来型資源なんだ。技術革新によって採掘が可能になったことで、アメリカ合衆国が2018年に45年ぶりに石油生産量世界第1位に返り咲いた。これが「シェール革命」と呼ばれているよ。ただし採掘時に大量の水を高圧で岩盤層に注入するため、地下水の汚染など環境への影響が問題になっているんだ。

石油をめぐる動きとOPEC

西アジアの産油国は石油資源に恵まれていましたが、当初は開発や精製をする技術をもっていませんでした。そのため、アメリカ合衆国やイギリス・フランス・オランダに本拠を置く国際石油資本(石油メジャー)に生産を委ね、利益の大部分を先進国に持ち去られていました。これに対して自国の資源を経済的自立と発展に結びつけようという「資源ナショナリズム」の動きが高まり、1960年にイラン・イラク・サウジアラビア・クウェート・ベネズエラの5か国によって石油輸出国機構(OPEC)が結成されました。

出来事時期内容
OPEC結成1960年産油国が石油の生産量・価格の調整を目的として結成
第1次石油危機1973年第4次中東戦争をきっかけにOPECが産油量と輸出量を制限し、原油価格が急騰
第2次石油危機1979年イラン=イスラーム革命の影響で石油供給が不安定になり、再び原油価格が高騰
シェール革命2010年代〜アメリカ合衆国でのシェールガス・シェールオイルの開発が進み、石油の供給過剰が起こる

2回の石油危機は産油国に巨額の石油収入をもたらした一方、非産油国には深刻なエネルギー不足をもたらしました。日本では物資の不足・物価の高騰・消費者の買いだめなどの混乱が生じました。この経験を生かし、先進国では石油の備蓄・省エネルギー・エネルギー源の多様化が試みられ、OPEC非加盟国の産油量も増えたことで、しだいに原油価格は下がり始めました。その後2000年代には新興国の需要増加や原油市場への投機などで再び原油価格が急騰するなど、石油の需給と価格の動向は世界経済や政治に大きな影響を与え続けています。

電力の生産と発電方法の違い

電力は現代の生活・産業に欠かせない2次エネルギーです。世界の総発電量の約6割が火力発電によるもので、石炭・石油・天然ガスなどが燃料として使われています。各国の発電方法はその国の自然環境やエネルギー資源の有無、エネルギー政策が反映されるため、国によって大きく異なります。

発電方式特徴・課題盛んな地域・国の例
火力発電立地の制約が少なく大都市圏に立地する傾向。CO₂排出による地球温暖化・硫黄酸化物・窒素酸化物による酸性雨が課題石炭主体:中国・インド、石油主体:産油国、天然ガスは世界的に増加中
水力発電CO₂を排出せず発電費用が安い。ダム建設による水没・下流の水量・排砂量の減少・生態系への影響が課題ブラジル・カナダ(大河川があり水資源に恵まれた国)
原子力発電CO₂を直接出さない。核燃料の安全管理・使用済み核燃料の処分・事故リスクが根本的な課題フランス(発電量の大部分を原子力に依存)・韓国

原子力発電所の建設には広大な用地や大量の冷却水を確保する必要があるほか、安全性への配慮から日本や韓国では大都市から離れた人口の少ない海岸部に立地する傾向が強く、フランスでは内陸の河川沿いに立地しています。2011年の東日本大震災で福島第一原子力発電所の事故が起き、日本では国内の原子力発電所の多くが稼働停止状態となりました。変動帯に位置する日本では今後も大きな自然災害が発生する可能性が高く、原子力発電の安全性を懸念する声も大きいため、エネルギー政策の見直しが続いています。

再生可能エネルギーの利用と開発

1970年代の石油危機をきっかけに、各国では省エネルギーとともに再生可能エネルギーの開発が進められています。再生可能エネルギーは世界の総発電量の約4分の1を占め(2018年)、太陽光・太陽熱・風力・地熱・水力などを利用したものや、廃棄物をリサイクルするもの、バイオマスエネルギーなどがあります。再生可能エネルギーの多くはCO₂や汚染物質の排出がほとんどないという利点がある反面、発電費用や供給の安定性に課題があるため、従来のエネルギーと組み合わせながら利用を拡大していくことが各地で進められています。

種類特徴盛んな地域・国
太陽光発電日射量が多い地域で普及。砂漠などで大規模なメガソーラーも建設。小規模設備でも発電可能で家庭にも普及中国・日本・アメリカ合衆国(生産量上位)
風力発電電力への変換効率が高く設備費用が年々低下。再生可能エネルギーのなかで最も利用が進む偏西風を利用できる西ヨーロッパ(デンマークなど)、中国・アメリカ合衆国
地熱発電地下の高温高圧の熱水や蒸気を利用。火山国に有利な発電方式ニュージーランド・アイスランド・日本
バイオマスエネルギー生物由来のエネルギー。バイオエタノールは食料・飼料の需給バランスや価格に影響を与える点が課題アメリカ合衆国(とうもろこし原料)・ブラジル(さとうきび原料)

脱炭素化と循環型社会への転換

化石燃料の大量消費は、燃焼による二酸化炭素量の増加を通じて地球温暖化の原因となるほか、排出された硫黄酸化物や窒素酸化物は酸性雨の原因になります。また主な資源には可採年数(確認埋蔵量を年間生産量で割った値)があり、このまま採掘が進めば近い将来に資源の枯渇に直面する可能性もあります。こうした問題を解決するために、化石燃料の使用を抑制して環境への負荷を減らす「脱炭素化」への取り組みが各国で進められています。ヨーロッパ諸国や中国などでは電気自動車の導入に力が入れられるなど、エネルギーの転換が社会全体で進んでいます。

また、大量生産・大量消費・大量廃棄の生活様式を見直し、リデュース(廃棄物の発生抑制)・リユース(再使用)・リサイクル(再生利用)の「3R」に取り組む「循環型社会」の構築も重要な課題です。通常の生産や流通を担う産業を「動脈産業」とすれば、リユースやリサイクルに関わる産業は「静脈産業」と呼ばれ、廃棄物などを回収・処理して動脈に戻し資源として循環させる役割をもっています。廃棄された工業製品からレアメタルを取り出すリサイクル技術も確立されつつあり、「都市鉱山」として活用への期待も高まっています。

さらに、発電所で電力を生み出した際に発生する廃熱を給湯や冷暖房などに利用する「コジェネレーションシステム(熱電併給システム)」の開発と利用も各地で進められています。従来の大規模発電では燃料が本来もっているエネルギーの約60%が失われていましたが、コジェネレーションシステムではエネルギーの損失を20〜25%に抑えることができます。

まとめ

  • エネルギー資源は自然界に存在する「1次エネルギー」と、加工してつくる「2次エネルギー」に分けられる
  • 1960年代後半に石炭から石油へ転換する「エネルギー革命」が起こった。現在も石油が最大のシェアを占めるが、天然ガスの需要も拡大中
  • 石油の確認埋蔵量の約半分は西アジアに偏在。OPECが産油国の立場を強化するために1960年に結成され、石油危機を引き起こした
  • シェールガス・シェールオイルの開発(シェール革命)が世界の石油需給に大きな影響を与えている
  • 発電方式は国によって大きく異なり、自然条件・資源・政策が反映される
  • 再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱・バイオマスなど)の開発が進む一方、供給の安定性や発電コストに課題がある
  • 化石燃料の大量消費による地球温暖化・資源枯渇を背景に、脱炭素化・循環型社会の構築が世界的な課題となっている
アトラス
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次回は、鉄鉱石や非鉄金属、そしてレアメタルの分布と利用について見ていこう!

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