熱帯・乾燥帯の気候と生活とは?A気候・B気候をわかりやすく解説

ルナ
ルナ

ねえアトラス、チョコレートの原料のカカオって熱帯でしか育たないんでしょ? でも同じ暑い地域のサハラ砂漠では何も育たないよね。同じ「暑い」なのに、何がそんなに違うの?

アトラス
アトラス

答えは「雨」なんだ。カカオが育つ熱帯は暑くて雨もたっぷり降る。でもサハラ砂漠は暑いのに雨がほとんど降らない。たった1つの違い=降水量が、森になるか砂漠になるかを分けてしまう。今日はこの「熱帯(A気候)」と「乾燥帯(B気候)」の世界を見ていこう!

A気候(熱帯)の特徴 — 一年中暑く、雨が多い

A気候(熱帯)は、最寒月の平均気温が18℃以上の地域です。赤道を中心に南北の低緯度地域に広く分布しています。

熱帯の最大の特徴は、一年を通じて気温が高いこと。年平均気温は25〜28℃程度で、年較差(最暖月と最寒月の気温差)が非常に小さいのが特徴です。多くの地域で年較差は2〜3℃程度しかありません。

一方で、降水量のパターンには違いがあり、その違いによってAf・Am・Awの3つに細分されます。

「A気候の判定基準」最寒月の平均気温 ≧ 18℃ → A気候(熱帯)

年較差が小さく、日較差(1日の最高気温と最低気温の差)の方が大きいのが特徴です。熱帯では「四季」ではなく「雨季と乾季」で季節が分かれます。

Af(熱帯雨林気候)— 一年中雨が降り続ける

気候の特徴

Afは最少雨月の降水量が60mm以上の気候で、一年中たっぷりの雨が降ります。赤道低圧帯の影響を強く受ける赤道直下の地域に分布します。

毎日のように午後にスコール(短時間の激しい雨)が降るのが典型的なパターンです。年降水量は2,000mmを超える地域が多くなります。

Afの地域は常に赤道低圧帯の中にあります。赤道低圧帯では空気が上昇し続けるため、年間を通じて雲ができやすく、雨が降りやすい環境が維持されます。

植生と土壌

Afの地域には熱帯雨林が広がります。常緑広葉樹が密生し、何層にも重なる林冠(りんかん)を形成します。樹木の高さは40〜50mに達するものもあり、地球上で最も種の多様性が高い生態系の一つです。

土壌はラトソル(赤色土)です。高温多雨のため有機物の分解が速く、養分が雨で流されてしまうため、見た目の豊かさに反して土壌はやせているのが特徴です。赤い色は、鉄やアルミニウムの酸化物が残ったものです。

人々の暮らしと農業

項目内容
伝統的な農業焼畑農業 — 森林を焼き払って灰を肥料にし、数年耕作した後、土地を移動する。土壌がやせているため、同じ場所で長期間の耕作が難しい
プランテーション農業植民地時代に始まった大規模な商品作物栽培。天然ゴム、油ヤシ(パーム油)、カカオ、コーヒーなどを栽培
住居の特徴高温多湿に対応するため、高床式の住居が多い。風通しをよくし、床下の湿気や害虫を防ぐ工夫
ルナ
ルナ

熱帯雨林は緑がいっぱいなのに、土壌はやせてるんだ…。意外!

アトラス
アトラス

そうなんだ。だから焼畑農業では、数年で土地の養分が尽きて移動しなければならない。最近では人口増加で休耕期間が短くなり、森林の減少が問題になっているよ。

Aw(サバナ気候)— 雨季と乾季がはっきり分かれる

気候の特徴

Awは明確な雨季と乾季を持つ気候です。熱帯でありながら、乾季には降水量が大きく減少します。

Awが生まれる原因は気圧帯の季節移動です。夏(太陽高度が高い時期)には赤道低圧帯が移動してきて雨季になり、冬(太陽高度が低い時期)には赤道低圧帯から外れて乾季になります。

Afの分布域の外側(赤道から少し離れた緯度10〜20°付近)に広く分布します。

Af = 一年中赤道低圧帯の中にある → 一年中雨が多い
Aw = 赤道低圧帯が季節移動で出入りする → 雨季と乾季がある

どちらも最寒月18℃以上のA気候ですが、降水量のパターンが異なります。

植生と土壌

Awの地域にはサバナが広がります。サバナとは、丈の長い草原に樹木がまばらに点在する景観のことです。乾季には草が枯れ、雨季に再び緑が戻ります。代表的な樹木としてバオバブなどがあります。

土壌は赤色の赤黄色土(ラトソルの一種)が多く見られます。Afほどの激しい溶脱はありませんが、肥沃とはいえません。

人々の暮らしと農業

項目内容
農業雨季に合わせた雨水に頼る農業が中心。稲作(アジアの一部)、ソルガム、トウモロコシ、キャッサバなど
牧畜乾季と雨季に合わせて移動する放牧が行われる地域もある
住居の特徴Afと同様に高床式の住居が多いが、乾季に備えた穀物貯蔵庫を持つ地域も
アトラス
アトラス

Awの地域では、雨季の始まりが農業の始まりでもあるんだ。だから「雨季がいつ来るか」が人々の生活を大きく左右する。近年は気候変動で雨季の時期がずれることがあり、深刻な問題になっているよ。

Am(熱帯モンスーン気候)— AfとAwの中間

Am気候は、Afほど年中多雨ではないけれど、年間の降水量が十分に多いため、短い乾季があっても熱帯林が維持される気候です。

最少雨月の降水量は60mm未満(Afの基準を満たさない)ですが、年降水量が多いため森林が枯れることはありません。AfとAwの中間的な性格を持ち、分布域も両者の間の狭い範囲に限られます。

共通テストではAfとAwほど詳しく問われることは少ないですが、「AfとAwの中間で、短い乾季があるが森林は維持される」という特徴はおさえておきましょう。

B気候(乾燥帯)の特徴 — 降水量が決め手

B気候(乾燥帯)は、降った雨の量(降水量)が蒸発する量に追いつかない地域です。A・C・D・E気候が気温で判定されるのに対し、B気候だけは降水量で判定されるのが大きな特徴です。

乾燥帯は、緯度20〜30°付近の亜熱帯高圧帯の直下を中心に広がっていますが、それ以外にも大陸の内陸部や、寒流が流れる沿岸にも分布します。

① 亜熱帯高圧帯の影響 — 緯度20〜30°付近。下降気流で雲ができにくい。
            サハラ砂漠、アラビア砂漠など
② 内陸(隔海度が大きい) — 海からの湿った風が届かない。
              中央アジアのカラクム砂漠、ゴビ砂漠など
③ 寒流の影響 — 沿岸の空気が冷やされ安定するため雲ができにくい。
アタカマ砂漠、ナミブ砂漠など

BW(砂漠気候)— 雨がほとんど降らない

気候の特徴

BWは乾燥帯の中でもより乾燥が厳しい気候で、植物がほとんど育たない砂漠が広がります。年降水量が250mm以下の地域が多くなります。

砂漠気候のもう一つの大きな特徴は、日較差が非常に大きいことです。空気中の水蒸気が少ないため、昼間は太陽の熱をそのまま受けて気温が急上昇し、夜間は熱が宇宙に逃げて気温が急降下します。

「砂漠」というと砂の広がるイメージですが、実際には岩石砂漠(岩盤がむき出しの砂漠)や礫砂漠(小石が散らばる砂漠)の方が面積は広いです。

植生と土壌

BWの地域はほぼ無植生ですが、オアシス周辺やワジ(涸れ川)沿いにはナツメヤシなどが生育します。また、雨が降った直後だけ一斉に花を咲かせる短命植物も見られます。

土壌は砂漠土で、有機物がほとんど含まれず、塩分が地表に集積している場合もあります。

人々の暮らしと農業

項目内容
オアシス農業地下水や外来河川の水を利用して、ナツメヤシや小麦などを栽培。限られた水源の周囲に集落が形成される
灌漑農業河川の水を人工的に引いて農業を行う。ナイル川流域の灌漑農業は古代から続く代表例
遊牧水と草を求めて家畜とともに移動する生活様式。ラクダ、ヤギ、ヒツジなどを飼育
住居の特徴日干しレンガ(アドベ)の家が多い。厚い壁で昼の暑さと夜の寒さを防ぐ。窓は小さく砂嵐を防ぐ工夫
ルナ
ルナ

砂漠でも人が暮らしているんだね。水がとても大切なんだ…。

アトラス
アトラス

そうだよ。砂漠の暮らしは「いかに水を確保するか」にかかっている。だからオアシスや河川のそばに集落が集中するし、水を遠くまで運ぶ技術(カナートやフォガラと呼ばれる地下水路)が古くから発達したんだ。

BS(ステップ気候)— 砂漠と湿潤地域の境界

気候の特徴

BSはBW(砂漠気候)の周囲に分布する、やや降水量がある乾燥気候です。BWほど極端に乾燥してはいないものの、樹木が生育するには水が足りないため、丈の短い草が広がるステップ(短草草原)の景観になります。

BW(砂漠気候)を中心に、その外側をBS(ステップ気候)が取り囲むように分布しています。BWからBSへ、さらにその外側のC気候やA気候へと、降水量が徐々に増えていくイメージです。

植生と土壌

BSの地域にはステップ(短草草原)が広がります。丈の短い草が一面を覆い、樹木はほとんど見られません。

土壌は栗色土黒色土(チェルノーゼム)が分布する地域があります。特にチェルノーゼムは、草の根が分解されてできた有機物が豊富に含まれる非常に肥沃な土壌で、ウクライナや北米のグレートプレーンズなどでは大規模な穀物栽培に利用されています。

人々の暮らしと農業

項目内容
遊牧・放牧草原を利用した牧畜が盛ん。モンゴルの遊牧、アルゼンチンのパンパでの牧牛など
大規模穀物農業肥沃な土壌を活かした小麦の大規模栽培。北米のグレートプレーンズ、ウクライナ、アルゼンチンのパンパなど
住居の特徴遊牧民はゲル(モンゴル)やユルト(中央アジア)と呼ばれる移動式テント型住居を使用
アトラス
アトラス

BSの地域は、世界の穀倉地帯と重なっていることが多いんだ。でも降水量が少ないギリギリの環境だから、過度な耕作や過放牧で砂漠化が進行するリスクも高い。サヘル地域の砂漠化は共通テストでもよく扱われるテーマだよ。

A気候・B気候と「気候・植生・土壌・農業」の連鎖

ケッペンの気候区分の記事でも触れたとおり、共通テストでは「気候→植生→土壌→農業」の連鎖がセットで問われます。A気候・B気候についてまとめておきましょう。

気候区分植生土壌代表的な農業
Af 熱帯雨林熱帯雨林(密林)ラトソル(やせた赤色土)焼畑農業、プランテーション(天然ゴム、油ヤシ、カカオ)
Aw サバナサバナ(疎林と草原)赤黄色土雑穀、キャッサバ、放牧
BW 砂漠ほぼ無植生砂漠土オアシス農業、灌漑農業、遊牧
BS ステップステップ(短草草原)栗色土・チェルノーゼム大規模穀物栽培(小麦)、放牧
ルナ
ルナ

この表、すごくわかりやすい! 気候から農業までが全部つながってるんだね。

ルナ
ルナ

今日のポイントを整理すると…

A気候(熱帯)は最寒月18℃以上。Afは年中多雨、Awは雨季と乾季あり
熱帯雨林はラトソル(やせた赤色土)→ 焼畑やプランテーション
B気候(乾燥帯)は降水量で判定。BWは砂漠、BSはステップ
砂漠は亜熱帯高圧帯・内陸・寒流の3つの原因でできる
BSの肥沃なチェルノーゼムは世界の穀倉地帯の基盤
気候→植生→土壌→農業の連鎖をセットで覚えることが大切!

…こんな感じかな?

アトラス
アトラス

熱帯と乾燥帯は「暑い」という共通点があるけれど、「雨」が決定的に違う。その違いが植生も土壌も暮らしもすべて変えてしまうんだ。次の記事では「温帯の気候と生活(C気候)」を見ていこう!

関連記事(内部リンク)

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